むやみな二階増築は危険で割高

都市部では最近、平屋建ての家をほとんど見かけることがなくなりました。地価の高い地域では、もうそんな費沢はできないというのが実情です。古い家の中にはまだ平屋建てもちらほら見かけますが、住んでいる人の話を聞くと、近々建て替えるか、さもなげれば二階を増築しようかと考えていらっしゃるケースがほとんどです

では、平屋建ての家が手狭になってしまった場合、建て替えるほうが得なのでしょうか。それとも二階を増築するほうが経済的なのでしょうか。答えは明快。私なら、いさぎよく解体して新しい家を建てます。二階を増築するのは、一般にあります。

昔建てた家の中には、現在の建築基準法に照らせば違法建築という家がかなり多いからです。「建蔽率」とは、建築基準法で定められた敷地面積に対する建築面積の割合で、住宅地の場合は50~60パーセント。しかし第一種低層住居専用地域では、建蔽率30パーセントなどという制限の厳しい地区があります。

「容積率」は、一階だけでなく二階、三階、そして地階までの総床面積と敷地の割合です。普通は100パーセントあるいは150パーセントといったところですが、ときには80パーセントに制限されていることもあります。建蔽率や容積率のほか、道路斜線や北側斜線に制限を受けることもよくあります。

しかし、建築基準法が制定された以前の建物には適用されません。だから古い家の中には、現在の法律に照らせば「違法建築」だというものがけつこうあるわけです。問題は、古い家を壊して新築しようと考えたときに生じます。

建て替えをきっかけとして制限を受げることになってしまうのです。前の家は敷地の80パーセントを使っていたのに、建て替えるとなると、建蔽率の制限を受げて50パーセントしか使えなくなるわけです。そんな場合は増築もむずかしいでしょう。

建築基準法では、10平方メートル以上の増築、または内部の大幅な改造を行なう場合、確認申請を義務づげています。申請をしないで着工すると、新築の無申請工事とみなされて工事中止や改善命令を受けてしまうことがあります

制限の厳しい地域では、建て替えや増築をする前に、かならず区役所や市役所で諸規定を調べなければなりません。そして、十分に検討したうえで、建て替えるべきか、リフォームで行くかを判断すべきです。

多少は狭くなってもいいから新しい家に住みたいとか、どうしても今、建て直したい、または、家が老朽化したため壊さなければならないというのなら、しようがありません。しかし現実問題として、前より狭い家で暮らすのはかなり不便で苦痛なものです。

そんなときお勧めしたいのは、今の家の構造や骨格を生かした改造です。家の広さや大きさには手を付けず、メンテナンスやグレードアップのためにリフォームするのです。たとえば、家の老朽化が心配なら、基礎や柱の点検と補強屋根の修理壁の塗り替えをすればいい。しっかりした木造家屋なら、多少の傷みが来ていても、きちんと補強すればあと20年や30年、安心して住むことができます。