「壁構造」の家はリフォームしにくい

家や建物は、構造に応じて効果的なリフォームの方法が違うし、どの程度のリフォームが可能かも違います。私の知人で、築一OO年の木造家屋を買い取り、みごとにリフォームした例があります。

その家は、古くても柱や梁などの構造材がちっとも傷んでいなかったので、いったん丸裸に仕上げを落として、基礎をしっかりと補強。そのうえで柱や梁を組み直し、新しい設備を入れ、最後は現代的なセンスで内装を仕上げました。

100年も昔、当時の熟練した職人たちの手で大切に建てられた家が、現代の技術と設備で立派によみがえったのです。この家がリフォームによってこれほど見事に生まれ変わったのは、昔ながらの木造軸組み工法、いわゆるか在来工法。で建てられた家だったからです。

木造軸組み工法とは、柱と梁の仕口(接ぎ手・組み手)による伝統工法のこと。柱や梁、板を接合するとき、一方の木材にホゾやサネと呼ばれる突起をつくり、もう一方にそれらを差し込むためのホゾ穴を彫って、きっちりとはめ合わせていきます。

これは、強靭さと融通性を兼ね備えたひじようにすぐれた仕口であり、骨組みとなる柱や梁さえしっかりしていれば、何十年たっても、ばらばらに解体しても、ふたたび元の姿に組み直すことができます。明治時代の歴史的な建築物が愛知県の明治村に移築され、立派に生き続げているのも、そのためです。

ツーバイフォーは、北アメリカで開発された開拓者用住宅、バルーン工法の現代版

「軸組み」に対して、同じ木造でも、まったく考え方の違う新しい工法があります。ツーバイフォー工法とか、木造パネル工法と呼ばれる「枠組み」の木造です。ツーバイフォーは、北アメリカで開発された開拓者用住宅、バルーン工法の現代版です。

「ツーバイフォー」つまり、2インチ×4インチ角の材木を芯枠にして、両側から合板を太鼓張りに打ち付けて、最初に壁面をつくってしまいます。あとは、この壁面を四方に立てて、金槌と接着剤で接合。屋根と床をつければでき上がり。

壁も天井も風船のように骨なしの一体だというところから「バルーン工法」の名がついたと言われます。木造軸組み工法がマッチ棒でつくった柱梁の家だとすれば、ツーバイフォーはボール紙を折ってつくった壁の家と言うこともできるでしょう。

つまり、ツーバイフォーは、家全体が大きなパネルから成る建物です。同じパネル工法の家としては、工場でつくった一メートル幅の木造パネルを現場でばたばたと組み立てる工法や、細い鉄骨を軸にしてパネルを組み合わせる鉄骨系のパネル住宅などもあります。これが「プレフアプリケーション」、すなわち「プレファプ」。

あらかじめ部材を工場でつくる家です。そこで問題。日本の伝統工法たる木造軸組みと、舶来のパネル住宅と、いったいどちらが強いのでしょうか。

住宅に興味をもっ人なら、おそらくだれもが知りたいテーマでしょう。残念ながら、まだ答えが出ていないのが実情です。「壁全体で建物や屋根を支えるパネル工法のほうが地震に対して強い」という説には、それなりの根拠があります。しかし、パネル工法が日本に導入されてからの歴史は、まだあまりに浅いのです。

ツーバイフォーが誕生した北アメリカと違い、日本は高温多湿の環境です。壁で固まれた気密性の高い家に、はたしてどの程度の耐久性があるのか。率直に言って、今の段階ではまだわかりません。

昔の日本の家が100年以上も長持ちしたのは、開口部が広くて外部と一体化した、風通しのよい構造だったからです。これに対してパネルの家は、壁で固まれた箱の家です。20年、30年と経過するうちに、結露やカピが原因で構造材が腐り始めるかもしれません。そうなってから大地震に見舞われたとしたらどうでしょう。

はたしてそれでも在来工法の家より強いのでしょうか。ツーバイフォーやパネル工法の家は、すべての壁が一体となって初めて強度が出る壁構造です。したがって、あとになってから「ちょっとこの壁に穴を開けて窓をつくりたい」と思っても、簡単にはできません。

間取りの変更などもむずかしく、無理をすれば全体のバランスが崩れて、家の構造がいちじるしく弱体化してしまいます。リフォームという視点から見ると、壁構造の家やプレファプはひじように扱いにくい、頑固さらに、な家なのです。