「狭くなったから増築」は間違い

  1. 「家が狭いから増築しよう」
  2. 「もうひと部屋ほしいから増築しよう」
  3. 「モノを置く場所がないから増築しよう」

何かにつけて、思い立つ「増築」。でも、気をつけてください。

増築さえすれば家が広くなるとか、新しい部屋さえつくれば住みやすくなると考えるのは錯覚です。肝心の「生活スペース」がちっとも広くならないことだって珍しくはありません。とくに、個室の増築には慎重でありたいもの。

新しい部屋が一つ生まれたら、古い部屋が一つ死んだなんて、よくある話です。だれだって「新しくてきれいなところで暮らしたい」のです。ほうっておげば、家族みんなが自然に新しいほうへ、新しいほうへと移動してしまいます。

ことに、南側に広くて快適な部屋を増築でもすれば、古い部屋には日も射さず、風も通らなくなります。暗くてじめじめした肌寒い部屋からは逃げ出したくなるのが人情でしょう。

結局、古い部屋はだれも使わなくなり、2.3年もすれば、ほとんど物置です。そのまま10年もたてば、また「狭くなったから」と言って、さらなる増築。私はこれを「ジプシー増築」などと呼んでいるのですが、ふと気がつげば、家の北側は「聞かずの間」ばかり並んで、廃櫨同然なんてことに。

下手な増築をすると、変なところに柱が残ってしまい、ひじように使いにくい部屋になったり、間取りに無理がくるとともあります。「増築したのに、生活スペースはちっとも広がらない」。

「使える部屋が増えていない」「いじり直しているうちにますます出費がかきんで、結局、建替えたほうが安かった」などという話もよく聞きます。これでは、費用も無駄、スペースも無駄、時間も無駄、努力も無駄。安易な増築は、一生懸命、無駄を増やしているということになってしまいます。

そんなことにならないためには、増築を決める前にひと呼吸置いてみましょう。部屋を増やす前に、今ある部屋の用途や間取りを見直してみるのです。ちょっと知恵を働かせれば、今までの半分の出費で二倍の効果を生むことが可能です。

グレードアップのリフォームとしては、キッチンやパスルームなど水回りをつくり替え、システムキッチンや床暖房、浴室乾燥といった新しい設備を導入します。これだけのことで、古い家もすっかり生まれ変わり、住みやすくなります

もちろん窓をつけ替えたり、間取りの変更をすることも可能です。収納を立体的にちょっと工夫するだげで、それまで部屋を占領していた家具や生活用品がすっきり片づき、家中が見違えるほど広々として見えることもあります。

リフォームを「増改築」と考えると、どうしても家を広げることや部屋を増やすことに意識がいってしまいますが、じつを言えば、このようなメンテナンスのためのリフォームや、グレードアップのためのリフォームのほうがずっと現実的なのです。